琥珀色に輝く
静かな灯りに包まれた居酒屋「琥珀」を舞台に、社会に馴染めず、それでも夢を諦めきれない若者たちの交流と成長を描いた、情感豊かな群像小説。
会社という枠組みに違和感を抱きながらも、何かを成し遂げたいと願う彼らが集うのは、「昭和研究会」という少し風変わりな集まり。
そこには、どこか懐かしく、そして新鮮な空気が流れています。小説家志望の緒方信二や画家を志す玄葉たちが語り合い、ぶつかり合いながらも、自分自身の輪郭を少しずつ見出していく姿は、多くの読者の共感を呼ぶことでしょう。
若い彼らは思い通りの人生をなかなか歩むことが出来ず、ほろ苦い青春の日々を過ごすうち、思いがけない事件に巻き込まれます。その最中「琥珀」の店主佐々木の正体が露呈して物語は急展開し、彼らは一致団結して巨悪と闘うことになります。日常に潜むドラマを丁寧に描いた本作は、読み終えたあとにじんわりと余韻が残る、温もりのある一冊です。